新連載① 「働きたい」と言いながら、何年も動けないことがあります

「働きたいです」


そう話しながら、何年も働いていない方がいます。


求人をまったく見ていないわけではありません。将来のことを考えていないわけでもありません。このままでいいと思っているわけでもないのです。


むしろ、「そろそろ働かなければ」「このままではいけない」と、本人なりに何度も考えています。


それでも動けません。


周囲から見れば、不思議に感じるかもしれません。本当に働きたいなら求人に応募すればいい。まずはアルバイトでも何でも始めてみればいい。そう思うのも無理はありません。


しかし、実際に多くの方と関わっていると、「働きたい」という気持ちと、「実際に動けること」の間には、思っている以上に大きな距離があると感じます。


過去に仕事で失敗した経験がある方もいます。職場の人間関係で傷ついた方もいます。体調を崩して退職し、「また同じことになるのではないか」と考えてしまう方もいます。


働いた経験がほとんどなく、自分が職場にいる姿そのものを想像できない方もいます。


そして難しいのは、時間が経てば経つほど、最初の一歩が重くなっていくことです。


数週間仕事を休んだ人と、何年も家で過ごしてきた人では、「明日から外へ出て働く」という言葉の重さが違います。


朝起きられるだろうか。毎日通えるだろうか。仕事を覚えられるだろうか。人間関係は大丈夫だろうか。失敗したらどうしよう。また辞めてしまったらどうしよう。


まだ何も始まっていないのに、頭の中では何度も失敗しています。


そうしているうちに、「もう少し体調が良くなってから」「もう少し自信がついてから」「自分に合う仕事が見つかったら」と考えるようになります。


もちろん、本当に休養が必要な時期もあります。生活を整えることが先になる方もいます。無理をして働き始めればいいという話ではありません。


ただ、ここで一つ難しいことがあります。


動き出す前に、働ける自信がつくとは限らないのです。


家にいながら、「自分は毎日働ける」という自信をつけることは簡単ではありません。人と関わらずに、人間関係への不安をなくすことも難しいでしょう。失敗しない方法をいくら考えても、実際にやってみなければ分からないことはたくさんあります。


だから私たちは、最初から就職だけを目標にはしていません。


決まった日に家を出る。


人に挨拶をする。


一つの作業に取り組んでみる。


分からないことを聞いてみる。


疲れたことを伝えてみる。


失敗しても、また次の日に来てみる。


一つひとつは、とても小さなことに見えるかもしれません。しかし、長い間動けなかった方にとっては、その一つひとつが大きな経験になります。


私たちは、それも働くことにつながるリハビリだと考えています。


事業所では、実際の仕事に取り組みます。古着の商品を扱い、お客様に届ける仕事があります。ものを作り、販売する仕事もあります。3Dプリンターを使った自助具の試作も始めています。


本物の仕事ですから、当然うまくいかないこともあります。


思ったように作れない。作業の手順を間違える。人に聞くタイミングを逃す。集中力が続かない。


でも、ここは「失敗の許されるB型」です。


失敗したら、なぜうまくいかなかったのかを考える。分からなければ聞く。必要ならやり方を変える。そして、もう一度やってみる。


一般就労の職場で初めて失敗するより、その前に失敗する経験をしておくことにも意味があります。


なぜなら、社会に出て本当に必要なのは、一度も失敗しないことではないからです。


失敗した時にどうするか。


困った時に誰かに相談できるか。


気持ちが折れた後に、もう一度戻ってこられるか。


そうした力も、働き続けるためには必要になります。


「働きたい」と言いながら動けないことは、決して珍しいことではありません。


ただ、考え続けていれば、ある日突然すべての不安が消えて、自信に満ちた状態で働き始められるとも限りません。


だからこそ、就職より前にできることがあります。


家を出てみる。人と話してみる。仕事をしてみる。失敗してみる。そして、またやってみる。


最初の一歩は、就職でなくてもいいのです。


私たちは、その小さな一歩の繰り返しが、やがて働くことや、その人らしい生活につながっていくと考えています。


見学はいつでも受け付けています。


「働きたい気持ちはあるけれど、何から始めればいいか分からない」「いきなり就職する自信はない」という方も、お気軽にご相談ください。


今すぐ働けるかどうかを決めるのではなく、今の状態から何を始められるのかを一緒に考えていきます。


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