「働きたい」わけではなかった人が、作業に夢中になるまで。B型事業所で見えてくること

最近、ありがたいことに事業所の見学が増えています。


見学に来られる方とお話ししていると、必ずしも「働きたい」「就職したい」という希望が強い方ばかりではありません。


まずは家の外で過ごす時間をつくりたい。


生活に少し変化をつけたい。


家にいる時間が長くなっているので、どこかに通ってみたい。


そうした希望を持っている方も少なくありません。


私たちは、それも利用を考える大切なきっかけだと思っています。


ただ、実際に通い始めると、少し違った姿が見えてくることがあります。


今までやったことのない作業に、思いがけず夢中になる人がいるのです。

やってみなければ分からないことがある

サチエル・ロビンソンでは、古着の検品や販売、インターネット物販、ものづくり、ホテル清掃など、いくつかの仕事に取り組んでいます。


その多くは、利用者さんにとって初めて経験する仕事です。


古着の状態を確認する。


商品の写真を撮る。


販売するための準備をする。


材料を使って、一つの作品を仕上げる。


どれも特別な資格が必要な仕事ではありませんが、普段の生活では経験する機会が少ないものもあります。


最初から「これが得意です」と言える人ばかりではありません。


むしろ、自分に何が向いているのか分からないまま利用を始める人もいます。


ところが、実際に取り組んでみると、驚くほど集中する人がいます。


時間を忘れるように、目の前の作業を続けている。


そういう姿を見ることは珍しくありません。

夢中になれることと、働けることは違う

ここは、少し冷静に考える必要があります。


一つの作業に集中できたからといって、すぐに一般就労ができるわけではありません。


決められた時間に出勤すること。


毎日安定して仕事を続けること。


仕事の速さや正確さを求められること。


職場の人と協力すること。


一般就労には、作業そのもの以外にも多くのことが求められます。


実際、サチエルで作業に没頭している方の中にも、一般就労となると、まだ難しい課題を抱えている方はたくさんいます。


作業に夢中になれることと、仕事として安定して働けることは、必ずしも同じではありません。


だからといって、夢中になっている時間に意味がないとは思いません。

「できること」だけを探していては見つからない

障害のある方の仕事を考えるとき、私たちはどうしても「この人には何ができるだろう」と考えます。


もちろん、身体の状態や理解力、疲れやすさなどを把握することは大切です。


ただ、それだけで仕事を決めてしまうと、本人が経験できることは限られてしまいます。


やったことがないから、できるかどうか分からない。


興味があるかどうかも分からない。


それなら、一度やってみればいい。


もちろん、安全面や本人の負担を考えながらですが、最初から可能性を狭める必要はないと思っています。


得意なことがあるから仕事を用意するのではなく、いろいろな仕事を経験する中で、得意なことが見つかる場合もある。


私たちは、そう考えています。

家から出ることが目的でも、その先に何かがあるかもしれない

最初は、家の外で過ごす時間が欲しかっただけかもしれません。


週2日、3日、事業所に通う。


そこで初めての作業を経験する。


思ったより難しかったり、逆に面白かったりする。


自分には向いていないと思う仕事もあるでしょう。


でも、そうした経験を重ねる中で、今まで知らなかった自分の一面に気づくことがあります。


これは、必ずしも就職という結果に直結するものではありません。


それでも、何もすることがないと思っていた時間の中に、夢中になれるものが一つ増える。


その変化は、小さなことではないと思っています。

私たちは一般就労を諦めているわけではありません

もちろん、サチエルでは一般就労を大切な目標として考えています。


本人にその希望があり、可能性があるのであれば、就職に向けた支援を進めていきたいと思っています。


ただ、すべての利用者さんが、すぐにそこへ向かえるわけではありません。


今は週2日通うだけで精いっぱいの人もいます。


一つの作業には集中できても、ほかの仕事にはなかなか取り組めない人もいます。


そのような方に、就職という結果だけを求めても、うまくいかないことがあります。


だからこそ、その前の段階で何が起きているのかを、私たちは大切にしたいのです。


初めての仕事を経験した。


自分から作業に取り組むようになった。


思いがけず、夢中になれることが見つかった。


そうした経験の積み重ねが、いつか働き方の選択肢を広げることにつながるかもしれません。

まずは、知らなかった自分に出会うことから

B型事業所に通う理由は、人によって違います。


最初から就職を目指している人もいれば、まずは家の外で過ごす時間をつくりたい人もいます。


どちらが正しいということではありません。


ただ、私たちは、通うことだけで終わる場所にはしたくないと思っています。


せっかく事業所に来たのなら、今まで経験したことのない仕事にも触れてほしい。


自分にはできないと思っていたことに挑戦してみてほしい。


そして、何か一つでも夢中になれるものが見つかれば、それは次の可能性につながるかもしれません。


一般就労にはまだ程遠くても、目の前の作業に夢中になっている人がいる。


その姿を見ていると、就職という結果が出る前にも、私たちが大切にすべきことはたくさんあるのだと感じます。


働けるようになることだけでなく、自分が何に興味を持ち、何に夢中になれるのかを知ること。


そこにも、B型事業所の大切な役割があるのではないでしょうか。

 

 

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