「休みたいから嘘をつく」利用者に、B型事業所はどう向き合えばいいのか

「体調が悪いので、今日は休みます」

 

利用者さんから、そんな連絡が来ることがあります。

 

もちろん、本当に体調が悪いのであれば休んでもらいます。

 

無理をして通所して、さらに体調を崩してしまっては意味がありません。

 

ところが、長く事業所をやっていると、ときどきあります。

 

話を聞いているうちに、どうも辻褄が合わない。

 

後から事情が分かって、最初に話していた理由とは違っていた。

 

つまり、

 

休むために嘘をついていた。

 

そんな場面です。

 

「嘘はいけない」で終わらせれば簡単です

 

当然ですが、嘘をつくことを勧めるつもりはありません。

 

仕事をする以上、信用は大切です。

 

今日は体調不良。次は家の事情。その次は別の理由。

 

それが繰り返されれば、周囲も「本当なのだろうか」と考えるようになります。

 

一般企業で働けば、なおさらです。

 

だから私たちも、「嘘をついて休んでもいいですよ」とは言えません。

 

ただ、B型事業所として考えなければならないのは、その先です。

 

なぜ、その人は「休みたい」とそのまま言えなかったのでしょうか。

 

「休みたい」では理由にならないと思っているのかもしれない

 

これは人によって違います。

 

単純に仕事へ行きたくなかったのかもしれません。

 

疲れていたのかもしれない。

 

嫌な仕事があったのかもしれない。

 

誰かと会いたくなかったのかもしれない。

 

あるいは、「休みたいだけでは認めてもらえない」と思っているのかもしれません。

 

本当の理由は、本人に聞かなければ分かりません。

 

だから私たちは、嘘を見つけたときに、

 

「嘘をついた。悪いことをした。終わり」

 

だけにはしたくないと思っています。

 

嘘そのものと同時に、その後ろに何があるのかを見る必要があります。

 

だからといって、何でも受け入れるわけではありません

 

ここが難しいところです。

 

福祉だから本人の気持ちをすべて受け入れればいい、という話でもありません。

 

事業所では、その日に行う仕事を考えています。

 

送迎もあります。

 

職員の配置もあります。

 

施設外就労であれば、取引先との約束もあります。

 

一人が休むことで、別の利用者さんや職員が予定を変えなければならないこともあります。

 

本人には本人の事情があります。

 

でも、本人以外にも人がいる。

 

働くということは、自分だけでは完結しない。

 

これはB型であっても伝えていかなければならないことだと思っています。

 

嘘を責めないことと、嘘を許すことは違う

 

ここは、私たちも迷うところです。

 

強く叱れば、次から本当のことを話さなくなるかもしれません。

 

だからといって、「何か事情があったんだね」だけで毎回終われば、嘘をつけば休めることを覚えてしまうかもしれません。

 

どちらも違うと思っています。

 

嘘をついたことについては、「それでは困る」と伝える。

 

同時に、「本当はどうしたかったの?」と聞く。

 

この二つは両立すると思うのです。

 

「休みたい」と言えることも、一つの力だと思います

 

働く力というと、毎日通える、長い時間働ける、仕事を覚えられる、指示を守れる。そんな能力を思い浮かべることが多いと思います。

 

でも、働き続けるためには別の力も必要です。

 

「今日はつらいです」

 

「この仕事が嫌です」

 

「人間関係で困っています」

 

「少し休みたいです」

 

そういうことを、嘘をつかずに相手へ伝える力です。

 

もちろん、「休みたいです」と言えば必ず休める、という意味ではありません。

 

話した上で、今日は頑張ってみようという日もあるでしょう。

 

仕事の約束上、簡単には休めない日もあります。

 

でも少なくとも、本当のことが分からなければ、こちらも一緒に考えることができません。

 

「嘘を見破ること」が支援ではない

 

長く関わっていると、「あれ? いつもと話が違うな」と気づくことがあります。

 

でも、支援者が名探偵になっても仕方ありません。

 

嘘を見つけて、「ほら、やっぱり嘘だった」と証明することが目的ではないからです。

 

考えたいのは、

 

なぜ本当の理由では休めないと思ったのか。

 

そして、

 

次はどうすれば、嘘をつかずに相談できるのか。

 

ということです。

 

そこまでできて、初めて次につながるのではないでしょうか。

 

B型だからこそ、失敗できることもあります

 

一般企業で同じことを何度も繰り返せば、信用を失うことがあります。

 

場合によっては、働き続けることそのものが難しくなるでしょう。

 

だからこそ、B型にいる間に経験しておいた方がいいことがあります。

 

仕事を休んでしまった。

 

嘘をついてしまった。

 

約束を守れなかった。

 

そういう失敗があったときに、ただ怒られて終わるのではなく、

 

「では、次はどうするか」

 

を一緒に考える。

 

私は、それもB型事業所の役割の一つだと思っています。

 

働くことは、「休まないこと」ではない

 

私たちは、一般就労できる可能性がある人については、その可能性を簡単に諦めたくありません。

 

一般就労を目指すのであれば、仕事に対する責任も身につけてほしい。

 

だから、休むための嘘をそのままにするつもりもありません。

 

でも、

 

「何があっても休まずに来られる人」を作ることが就労支援でもないと思っています。

 

自分の状態を知る。

 

困ったときに相談する。

 

休む必要があるときには、そのことを伝える。

 

そして、また仕事に戻る。

 

そうやって働き続ける方法を身につけることも、大切です。

 

嘘をついて休もうとする利用者さんがいたとき、「どうすれば嘘をつかせないか」だけを考えるのではなく、

 

「どうすれば、この人は本当のことを話しながら働き続けられるのか」

 

そこまで一緒に考えていきたいと思っています。